ケアマネージャーとして働いている方は、主任ケアマネを取得しておくべきか否かを悩んだことがある方もいるのではないでしょうか。しかし、主任ケアマネがどのようなものかよく分からず、業務内容や取得後の メリットややりがい、待遇もイメージできてない方が多いのではないでしょうか？
この記事では、主任ケアマネを取得しておくべきか否かそのメリットや仕事内容を解説しながら考えていきます。
主任ケアマネとは
主任ケアマネを取得するべきか否かを考える前に、まずは主任ケアマネとは何かを整理しておきましょう。
主任ケアマネの概要
主任ケアマネとは、正式名称が主任介護支援専門員と呼ばれるケアマネジャーのことです。
通常のケアマネージャー（介護支援専門員）の上位資格に該当するもので、2006年に作られた資格となっています。 通常のケアマネージャーとは異なり、ケアマネージャー自体の指導や育成相談対応を行うことが主たる業務内容と定められています。
地域ケア会議と呼ばれる地域で高齢者や要介護者のサポートを行う人たちを集めた会議の実施、生活が困難な事例に対する助言や指導なども行うことが業務内容となっています。
主任ケアマネを取得するためには
主任ケアマネを取得するためには、研修を受講する必要があります。
まずは受講資格を満たしている必要があり、下記四点のいずれかに該当し、研修を修了していることが条件となります。
- 通常のケアマネージャーとして通算5年以上の経験がある
- 認定ケアマネージャーでありその状態で3年以上の経験がある
- 主任ケアマネに準じるものとして地域包括ケアセンターに配属されている
- ケアマネージャーとして十分な知識と経験を有する者として都道府県が適任と認めている
この条件を満たした場合に、主任ケアマネになるための研修を受けることができます。研修は各都道府県が実施しており、受講期間は12日、受講時間は70時間、受講料は都道府県によって異なりますが数万円となっています。
主任ケアマネは更新性である
主任ケアマネを取得した後は更新が必要となります。
5年毎の更新が必要であり、更新のためには都度講習を受けなければなりません。その内容としては、受講期間が8日間、受講時間は46時間、受講料はこちらも都道府県によって異なりますが数万円となっています。
5年ごとの研修はなかなかにハードなものですが、ケアマネジャーの質を担保するために必須と考えられています。
主任ケアマネの配置が今後は義務付けられる
ケアマネ事業所においては、質の高いケアマネジメントの実現のために、主任ケアマネの配置が今後は必須となっていきます。
したがって、今後は主任ケアマネがいない居宅介護支援事業所や地域包括センターでは減算（報酬が減らされてしまうこと）などが生じる可能性があります。それを防ぐため、事業所は主任ケアマネを確保しておかなければならず、そのために待遇を良くするなどの措置を講じることが考えられます。
主任ケアマネの実際
では、主任ケアマネの実際について解説していきます。ここでは、主任ケアマネの仕事内容、取得後の働き方の変化、転職の際の状況についてを扱います。
主任ケアマネの仕事内容
先述したように、通常のケアマネジャーより上位の仕事として下記のような業務を担当します。
- ケアマネージャーの指導、育成、相談の対応： 要介護状態にある方が自宅で安全な生活を過ごすためには、適切なケアプランに基づいた介護サービスを利用する必要があります。そこで大切なのが、ケアマネージャーの質の高さです。主任ケアマネはケアマネージャーが抱える問題に必要なアドバイスや指導を行うといった、ケアマネージャーのマネジメント業務を行うことになります。
- 地域ケア会議の実施：所属する事業所のみで働くわけではありません。介護や医療などのサービスを適切に提供するために、関連事業所へのネットワーク構築を行うことも仕事となります。最近では、地域で介護状態のある方を支えるというのが普通になってきていますが、主任ケアマネがその重要な位置づけになっているのです。
- 困難事例に対する助言や指導：通常のケアマネージャーと同様に、利用者のケアプランを作成することも主任ケアマネが行う仕事のひとつです。しかし、主任ケアマネは通常のケアマネージャーと比較して知識や経験が深いことが多いため、困難事例に対応することが多いものです。ケアプランだけでは対応できない場合もあるため、介護領域を超えた連携が重要となってきます。
もちろん、通常のケアマネジャーと同様に要介護状態にある利用者のケアプラン立案などの通常のケアマネジャー業務を行うことはあります。しかし、より視野が広く高い視点からのマネジメントをすることが常に求められていることは忘れないようにしましょう。
主任ケアマネのやりがいとは
主任ケアマネのやりがいとは、その役割の通りより高い視点から介護や医療と携わることができることです。
通常のケアマネージャーとして働いていると、目の前の利用者さんのことで頭がいっぱいとなり、実務も手がいっぱいとなってしまうことがほとんどです。しかし、主任ケアマネとなれば、それだけが仕事ではなくなります。
より多くの人と必然的に関わることとなり、より広い視点から一人一人のケアを考えることができるようになります。
主任ケアマネとして働いていると自然と 人脈が広がり、通常のケアマネージャーとして働いているとできなかった支援のカタチを実現することができます。
これが、主任ケアマネのやりがいでしょう。
もちろん、一人一人の利用者に時間をかけて付き合っていくことが向いているという人もいるはずです。必ずしも主任ケアマネとなることだけが、ケアマネージャーのキャリアアップではありません。
あなたがどのようなケアマネージャーとしての働き方を実現したいかを考えながら、主任ケアマネを目指すことを考えましょう。
主任ケアマネ取得によるメリット
主任ケアマネとしての資格を取得した後は、 通常のケアマネージャーとは異なる位置づけとなります。
まずは、 ケアマネージャーとしての信頼感です。ケアマネージャーとして介護や医療に関しても深く知識を有しているために、「このケアマネージャーは他のケアマネージャーよりもしっかりした人なんだな」と利用者から思われるようになります。周囲からの信頼が 高まることはプレッシャーに感じることもありますが、どちらかというと仕事がしやすくなることの方が多いものです。
次に、転職を行う際のメリットがあります。 先述したように、今後は主任ケアマネの配置が必須となってきます。つまり、多くの居宅介護支援事業所や地域包括センターが主任ケアマネの確保を必死になって行うことになります。そこで、主任ケアマネを持っていることで転職に有利となり、さらには待遇も良くなるといったことが期待されます。
さいごに、ケアマネとして長い間安定して働き続けられるということが挙げられます。 居宅介護支援事業所や地域包括センターで働くケアマネージャーは、在宅で過ごす要介護者のご自宅に訪問をしなければなりません。その際には、車で移動することもありますが、自転車やバイクなどといった危険を伴う移動を必要とすることもあります。主任ケアマネであれば、必要に応じて訪問を行うことが多いため、長い間安定して働き続けられるということにつながっていきます。
主任ケアマネ取得後の転職活動
最後に主任ケアマネを取得した後に、転職活動を行う際のポイントを紹介します。
資格を取得した後に転職活動を行ってみても、主任ケアマネがどのような働き方をしているかがよく分からない事業所が多いことに気づくはずです。そのため、主任ケアマネになったにも関わらず、条件の良くない事業所で働くという状況になるケアマネージャーは少なくありません。
そのため、理想的な働き方をしながら良い待遇の事業所で働くためには、 様々な事業所の情報収集する必要があります。
そこで利用したいのが、転職エージェントです。転職エージェントとは転職活動の専門家で、あなたが転職を考えている事業所の情報や待遇の交渉などを行ってくれます。 なかなか情報のない主任ケアマネの転職だからこそ転職エージェントをうまく活用して、転職活動を有利に進めていくことがおすすめです。
おわりに
この記事では、主任ケアマネを取得しておくべきか否かそのメリットや仕事内容を解説しました。これからケアマネージャーとして働き続けたいと考えている場合にはできれば取得しておきたいものです。あなたがどのような働き方をしたいかを考えたうえで、主任ケアマネの取得を検討してみてくださいね。
そして主任ケアマネを取得した方はそのキャリアを転職にて活かすと良いでしょう。主任ケアマネは今後需要が拡大していくことが考えられています。そのため通常のケアマネージャーとして働くよりも待遇が良くなる可能性がとても高いです。主任ケアマネを取得してもお給料が上がらない働き方が改善されないなどの場合には、主任ケアマネとしての活躍ができるような事業所に転職をしてキャリアを活かすようにしましょう。
転職をする場合には転職エージェントを活用することが有効です。 転職エージェントとは転職の専門家でありあなたのキャリアを活かすためにどのような事業所は良いかを一緒に探し転職をするための対策を一緒に講じてくれます。一人で転職活動を行っても必ずしも良い事業所に転職できるわけではないため専門家の力を借りながら転職活動を行うと良いでしょう。
